チンチラさんは想像以上に日本での飼育が難しい動物です。

チンチラさんをこれからお迎えしようと検討されている方は、お迎えする前に是非こちらをお読みください。

チンチラさんのお迎えを検討中の方へ

【1】チンチラを診てもらえる動物病院について

チンチラさんを診てもらえる病院はとても少ないです。地方では自宅から数時間の距離にしかないこともあります。
お迎え前には必ず『通える距離に』チンチラさんを診てもらえる病院があるかを確認してください。

【2】チンチラの飼育ケージについて

チンチラさんを飼育するケージは、幅60cm×奥行き45cm×高さ68cm以上(※)の十分な高さと広さのあるケージを選びましょう。
※幼齢・高齢・闘病中は、この限りではありません。

部屋の中の静かな場所、日光やエアコン・ヒーターの風が直接当たらない場所に、ケージを置くスペースの確保はできますか?(ご飯やお掃除などお世話に必要な物も、かさばる物が多く、そのスペースも必要になります。)

【参考】
「ケージレイアウト」をテーマに開催したオンラインオフ会や勉強会のレポートでは、実例写真を用いて、事例や工夫していることなども数多く紹介しています。あわせてご覧ください。

【3】チンチラのお散歩について

毎日お部屋の中を自由にお散歩させてあげる必要があります。(チンチラの飼い主さんたちはお部屋でのお散歩を通称『部屋んぽ』と呼びます)

室内でのお散歩中には、柱や壁紙・コードなど好奇心旺盛なチンチラさんは、なんでも齧ってしまいます。
ペットフェンスやプラダンで囲いを作ったり、電源コード類を保護する必要があります。

賃貸物件の場合、大問題になることもあります。チンチラさんのスペース全てに対策出来ますか?

【4】チンチラと飼い主さんとのコミュニケーション

何年経っても、なかなか自分の思い描いたように慣れない個体もいます。
コミュニケーションを取ることが苦手なチンチラさんの場合、人気(ひとけ)を感じると姿を隠したり、部屋んぽ中に突然飼い主さんを噛み去っていくような子もいます。

SNSでよく見かけるようなチンチラさん達は比較的慣れている子達が多いですが、お迎えした子がそうとは限りません。

【5】牧草や砂アレルギーなどの可能性はありませんか?

チンチラさんの主食の牧草や、砂浴びの砂、抜けて舞う毛など、人間のアレルギーを引き起こす可能性のある物が多数あります。

お迎え時にはアレルギーがなくても、アレルギーはいつ発症するかわかりません。
アレルギーを発症しても大丈夫なように、しっかり対処できますか?

※残念なことに、アレルギーを理由にチンチラさんを手放す飼い主さんもいます。
薬や空気清浄機で症状を抑えるなど、対処を考えておくことが必要です。お迎え前にアレルギー性の症状が出ていなくても、数値で判断出来る場合もありますので、心配な方は事前にアレルギー検査を受けることをオススメいたします。

【6】エアコン・除湿機・ヒーターも必要になります

室温等の環境を整えるために、エアコンはほぼ一年中稼働になります。
除湿機や空気清浄機、冬場にはヒーターも必要になり、電気代は2〜3倍に跳ね上がることもあります。

それでいて、舞い上がる粉状の砂や毛、チップなどのほこりにより機械自体も故障することが多いです。なるべく精密機器はケージのそばに置かないようにしましょう。

【7】お住まいの住居はペット飼育可能ですか?

賃貸物件にお住まいの方は、ペットの飼育が可能な物件か、後々のトラブルにならないためにも必ず確認しておきましょう。

(ホイールを回す音・牧草ゴミ・通院などで連れ出す時に発覚し、即退去を命じられたという例も報告されています。)

【8】飼い主さんご自身の体調なども十分に考慮してください

身体的・精神的に調子を崩しやすい方は、毎日のお世話が非常に負担となり、それが原因で手放したり虐待してしまうことがあります。生き物ですので必ず毎日のお世話が必要ですし、チンチラさんはとても長生きです。

少しでも不安がある方は、ご家族や親族としっかり話し合ってからお迎えを検討してください。お一人で飼育される予定の方は、調子が悪い時はご自身に代わってお世話のできる方(知人やペットシッターなど)をあらかじめ見つけ、お願いしておきましょう。


チンチラさんと一緒に長く幸せに暮らすために

チンチラさんはギネス記録の子で、最長29年生きた子がいる長生きな動物さんです。

これから20年後・30年後も変わらず最期まで愛情を持ってしっかりお世話ができますか?

温度・湿度管理、飼養費用、病院代、毎日のお世話、精神的気遣い、時間やお金を長期間継続して必要とします。

生涯育て続けることができるか、これからの自分の生活環境を予測し、しっかり考えてからお迎えしましょう。


『チンチラを悲しませないで』

チンチラは、頭がよく愛情深い動物です。
飼い主さんを仲間として認識し、一度飼い主さんを好きになってしまうと、その気持ちは、悲しいほど一途です。飼い始めだけ、ちやほやして、その後、ずっとケージに入れっぱなし、声をかけることもなくなるような飼育は、チンチラを苦しませます。

チンチラは、長生きする動物です。なんらかの理由で、チンチラを愛せなくなった場合は、その子のその後の生活をよりよいものにしてあげる選択を考えることも飼い主の義務なのです。

「チンチラってどんなどうぶつ?」(発行:一般社団法人日本チンチラ協会)P.14