チンチラさんとお散歩
人間も動物も、運動や気分転換は必要ですよね。
チンチラにとっても、もちろんそれは大事な日常生活の一つです。
では、チンチラにとっての運動や気分転換とはどのようなことでしょうか。
●野生時のチンチラにとっての運動や気分転換
野生時のチンチラは、あたりが真っ暗になると、家族や兄弟と、岩場や広場でかけっこをしたり、食べ物やまだ知らない安全な場所を探したりすることが、運動であったり、気分転換でもありました。
日が高い日中は、天敵も多く、季節によっては、直射日光があたったり、気温自体が高く、体温があがってしまうと命の危険があったため、動きにくかったのです。
●人間と暮らすチンチラの運動や気分転換
人間と暮らすチンチラは、食べ物や安全な場所を探す必要がなくなりました。
そのため、多少退屈になったかもしれませんが、人間と一緒にお部屋の中にいることで、多くの危険を回避できるようになりました。
その代わり、ひとたび一人で外に出てしまったら、なにが危険でなにが安全なのかは全くわからない世界になってしまったのです。
それを教えてくれる家族や兄弟も一緒に行動はしないので、一人で外に出てしまうことは命の危機であることを、外に出て初めて本能的に悟ります。
たとえ人間が一緒であっても、私たちはチンチラがお部屋の外で感じる恐怖のすべてを察して、教えてあげることはなかなかできません。
そのため、チンチラは私たちが思う以上に、恐怖や不安を感じてしまいます。
それでも、小型草食動物は、本能的な危険回避の行動として「ポーカーフェイス」を保ちます。
特にチンチラは、危険を感じた恐怖で興奮してしまうと、じっと固まってしまわずに、動き回り楽しんでいるかのような行動をとることがあります。
人間と暮らすチンチラにとっての運動や気分転換は、お部屋の中が一番安全かつ安心できるものです。
自分のチンチラにとって本当に必要なことは・・・?
動物は、人間が求めるような刺激をあまり求めず、毎日変わらない時間を過ごすことに安心を覚えます。
もちろん、その子その子によって好む生活の仕方は違うかもしれませんが、本当に望んでいることがなにかをチンチラときちんと向き合って日々考えてあげることが大切です。
飼い主さんがやってみたいと思ったことや他のだれかと同じにすることが、自分のチンチラにとって本当に必要なことなのかを、考えてあげられるのは、飼い主さんだけなのです。
チンチラのお散歩は、へやんぽ、つまり、お部屋の中のお散歩です。
無理矢理外に連れ出す必要はありません。
ときおり、縁側から一緒にお花見をしたり、お庭でひなたぼっこをしたりすることを喜ぶチンチラもいるかもしれません。
まれに、ドライブやお外のお散歩が大好きなチンチラもいますが、それは非常に稀なケースです。
聞いたことのない外の音。
カラスや犬の声。
まぶしい太陽。
屋外の散歩、ハーネス装着はチンチラの命に関わります
チンチラにとってのハーネス装着の危険性
犬のようなお散歩が必要なのかと思ってしまう飼い主さんが稀にいますが、チンチラはハーネスを装着できるような体の形ではありません。
ハーネスのような装具は、非常に窮屈かつ一部を締めつけたりすることもあり、その割に簡単にすりぬけてしまいやすいものです。
ひもで首がしまったり、体をきつくしめすぎて、命を落とすこともあります。
日光や車内での熱中症のリスク
なにより、日本の気候では、日光で簡単に熱中症になります。
少しでもあたたかい気温の中で跳んだり走ったりすると、もともと体温の高いチンチラは急激に体温があがり、簡単に熱中症になってしまうのです。
そして、気候のいい時期に車で外に連れ出す事故で最も多いのが、車内での熱中症による死亡事故です。
車内での熱中症による事故死は、毎年どの動物でも後をたちません。
日差しの強い日は、気持ちの良い風が吹いているような気候でも、「ちょっとそこまでの買い物」で、車内の温度は簡単に40度以上にあがります。
自分のチンチラさんを守れるのは自分だけ
チンチラ飼育初心者の方は、もちろんのこと、ベテラン飼育者の方も、初心を忘れず、チンチラにとっての危険とはなにかを、常に立ち止まって考えていただけると、つい出来心だったというような理由で、チンチラの命を落とさずに済むのではないかと思います。
まずは、お部屋の環境を常に安全な場所にしてあげること、温湿度の適温のキープやケージ環境の見直しなどを心がけていきたいですね。
そして、いかにしてへやんぽをより安全に楽しくおこなっていくかを考えていきましょう!