『命』について考える
近年、チンチラが海外から輸入される数が飛躍的に伸びました。
しかしながら、それに比例して心配事も増えているのが現状です。今一度、チンチラの歴史から紐解き、『命』というものを真剣に考えてみませんか?
1.チンチラ飼育の歴史
- 1918年〜 鉱山所有者マタイアス・F・チャプマン氏により、 北部チリのポトレリーヨス近辺で3年がかりで11匹のチンチラを捕獲。
- 1923年 チャプマン氏により12匹のチンチラ(約1ヶ月の移動中に、2匹産まれ1匹亡くなる)がアメリカに輸入される。
(毛皮の為の飼育が始まる) - 1950年頃〜 ペットとしての素晴らしさが認められ、ペット用ブリードが始まる。
▼日本では…
- 1970年代 動物園でわずかに飼育されていた。
- 1980年(もしくは1981年) リチャード C・ゴリス博士がアメリカより生後3ヶ月のチンチラを4匹輸入。
- 1995年頃〜 一般的なペットショップで販売されるようになる。
(リチャード C・ゴリス著『ザ・チンチラ』より)
2.チンチラの輸入状況
厚生労働省が発表している統計情報より
※2005年は9〜12月のデータ(2005年8月以前の記載は無し)※2021年は1〜10月のデータ
3.チンチラ飼育の現状
世界的にみてもペットとしての飼育はまだ70年程の歴史しかなく、日本に関してはまだ30年程とチンチラは非常に歴史の浅いペットです。
しかしこの5年においては急激に人気が広まり一気に数が増えました。
この他にも国内ブリーダーや個人の自家繁殖などにより産まれている命もあります。
この20年程度で徐々に飼育法や獣医療も進歩し、長生きできるチンチラが増えてきたり、用品やご飯の種類が増えたりと、飼育しやすい環境になってきました。
人気が広まり、チンチラの可愛さを伝えるSNSやテレビ番組も随分増えました。
しかしまだまだ分からない事も多くチンチラを診れる病院も少ないのが現状です。
また、高温多湿の日本はチンチラ飼育に向いていない為、飼育する上で注意しなければいけないことも少なくありません。
温湿度管理が甘く熱中症になって亡くなったり、届くところに電化製品がありコードを齧ることで感電したり、戸締りが甘く外へ逃げて二度と見つからなくなったり、無知ゆえに起こる事故で亡くなるチンチラもいます。
チンチラの寿命は長く、ギネス記録では30年近く生きた子もいます。
国内でも25歳を超える子が出てきました。
1人の子供を成人させるよりも長い付き合いになります。
それがチンチラの魅力の1つなのですが、時には飼育を放棄する原因にもなります。
近年、チンチラの譲渡や捨てチラが増えています。
理由の多くは、長生きゆえに飼育途中で起こる飼い主さんの変化です。
引越し先に連れていけない。
出産・子育てが忙しくお世話が難しくなった。
アレルギーを発症した。 などなど。
長生きな動物ですから この先を予測してお世話をサポートしてくれる方や 預け先なども考えておかないと、20年30年経てば状況も変わります。
今からお迎えする方も、今飼育中だけど健康で問題なくお世話できている方も、愛チラの一生を最期まで共に過ごせるよう今一度しっかり考えてみてください。
4.協会から皆さまへ
みなさんのチンチラさんを優しく抱きしめてあげてください。
抱っこができない子は、たくさん撫でてあげてください。
触れることさえ難しい子は、『大好きだよ』とたくさん話しかけてあげてください。
チンチラのお母さんが命がけで産んでくれて、みなさんの元にやってきた、大切な大切な命です。
皆さんも、皆さんのチンチラさんもこの先ずっと幸せであることを願っています。
もし、分からないことや困ったこと、大変なことなどがあれば協会を頼ってください。
私たちは会員の皆様に向けて様々な情報を発信したり、相談を受けたり皆さんのチンチラさんをサポートする活動を行なっています。詳しい活動内容は『日本チンチラ協会の軌跡』をご覧ください。